院長コラム7月号
自分の歯でよく噛んで食事をしている人は、高齢になっても比較的丈夫で元気だというのが、長年歯科医をやってみての感想です。
又、ある歯科医によると脳の血流の50%は噛む動作によってもたらされるそうです。噛むという動作は、顎の関節運動ですが、顎の関節のすぐ後には外径(がいけい)動脈という太くて大きな血管が通っていて、脳へ酸素と栄養を送っています。
つまり噛む運動で、脳への血流が増すことになります。
しかし若い頃には何ともなかった血管も、高齢になるにつれてさびついて細くなって脳への血流が悪くなり、必要な酸素や脳内にたまったゴミの掃除も十分でなくなり、認知症やアルツハイマーの病気の原因になります。
今の時代、歯がなくても柔らかく加工された食品が溢れているので、栄養的には十分ですが、噛むという顎の運動は血流を上げるという重要な役割もしているのです。
したがって、なるべく形のある野菜や噛み応えのある食材を食べるようにして、よく噛まざるを得ない生活をすることも大事です。
食事が美味しく味わえる上に、お金のかからない認知症予防にもなります。