院長コラム6月号
お酒が美味い、食事が美味しいなぁなど生きている実感を味わったり、これからこういう風に生きようとか、ピンピンコロリで生涯を終わろうとか、感じたり考えたりしているのは、心(正確には脳)です。体ではありません。
そして、多くの人は気持ちだけは若くて、体が言うことを聞かない悔しい思いをたくさんしていると思います。
しかし、大事なのはその逆の場合でもう少し年齢がいって、心が衰え正常な判断ができないにもかかわらず、体だけ丈夫だと言う場合です。
例えば、迷子になってしまう高齢者や認知症を患っている高齢者です。
現代医療は、体を生かす事は得意で、本人の意志に関係なく生かしておくができます。しかし、心の衰えを治す方法は多くの医学者の努力にもかかわらず見つかっていません。
そして、意識レベルが限りなく低くなって、本人の気持ちに関係なく体だけで生きている人が高齢化に伴って増えています。
私はあらかじめ心がまともなうちに、つまり自分の意思表示できるうちに、延命措置のために薬や栄養補給をせず、自然に終わらせてくれというのが希望で、周囲の人々にそういうメッセージを残しておきたいと考えています。